最初に、デロンギ社のビジネスについて教えていただけますでしょうか?
北川氏(デロンギ・ジャパン株式会社: 以下DLJ):デロンギ・グループの日本法人の「デロンギ・ジャパン株式会社」は1995年に設立。主な事業は、日本市場向け家庭用・業務用電気製品の輸入販売となり、全自動コーヒーマシン、オイルヒーターやその他調理家電商品および付帯サービスを取り扱っています。
「Better Everyday」は、デロンギがお客様へ提供したい「家で過ごす時間をより愉しく、心地よいひとときに変える」というブランド・コンセプトを体現しています。人々の日常に寄り添うというコンセプトと、より豊かな時間をもたらすという想いがこめられており、製品設計の際にもこの考えを大切にしています。デロンギ製品を使うお客様が、毎日、より心地よく、より充実した、より愉しめる暮らしへ。まさに、「より良い毎日へ」というコンセプトです。

次に、皆さまの自己紹介とプロジェクトでの役割を教えてください。
北川氏(DLJ):営業部ダイレクトグループのマネージャーとして、楽天・Amazonなど主要ECチャネルと、表参道を中心としたリアル店舗の統括を担当しています。
猪股氏(DLJ):営業部に所属し、Amazonをメインで担当しているEC営業担当です。各ECチャネルの成長を横断的に支える役割として、Sales Planningも兼務しています。
野副氏(DLJ):同じく営業部に所属し、楽天・Yahoo!のEC運営を担当しています。また、自社ECおよびサブスクリプション型ストアの運営も兼務しています。

デロンギ社が抱えていた課題はどういった点にあったのでしょうか?
猪股氏(DLJ):家電業界におけるEC化が加速する中、Amazonや楽天といった主要チャネルでの施策をプラットフォーム特性にあわせて展開する必要がありました。しかし、それに伴う工数やノウハウ、リソースの確保が課題でした。
ビジネスパートナー選定にあたって重視したポイントは?
猪股氏(DLJ):ハードスキルだけでなく、ソフトスキルも重視しました。大きなディスカウントに頼らず、中長期でブランド価値を高められる売り場づくりができること。デロンギのブランド価値観をしっかりと理解しながら中長期で消費者目線の売り場作りができること、EC運営の卓越したノウハウとバックアップ体制を有していること。最後は現場担当者の熱意。これはチームの総意です。
ワンプルーフへ依頼したきっかけや決め手とそれにより実現したかったことは?
猪股氏(DLJ):以前一緒にお仕事をした際に高いパフォーマンスを発揮いただいた経験があり、安心して依頼できると考えました。今回改めてデロンギとしてお取り組みをさせていただいて、EC運営の基盤・スタート地点を一緒に築くことができたと考えています。
そのうえでワンプルーフさんとの取り組みで実現したかったことは、より消費者目線に立った売り場作りをしていくこと。ECの難しい点として、マーケティングとセールスが分断されていると「バナーに書いてあることが遷移先ページ内に書かれていない」といったような弊害が起きます。
消費者インサイトに基づき、彼らにとってのニーズやベネフィット・回遊法則にそったLPデザインや、各露出から購買にいたるまでのエモーションリレーを設計することで、もう一段階上の取り組みを進め、一貫してお客様に楽しんでいただけるEC店舗にしたい、と考えました。

仲村(株式会社ワンプルーフ: 以下OP):デロンギ社からご支援の相談をいただき、各モールの運営状況や感じておられた課題をヒアリングさせていただきました。デロンギ社がご認識されている課題点は複数ありましたが、それらを踏まえ、まずはワンプルーフによる初期分析から開始し、弊社見解をご提案しました。
初期分析時が偶然にも楽天スーパーセール期間中であった為、楽天店においてはBigSaleのタイミングでの広告の出面、販促手法、セール会場の設計や導線、クリエイティブの訴求ポイント等も合わせて分析することが可能でした。
その結果、各モールの特性や仕様に基づいた最適運営に至っていない点、ブランド公式サイトの強みを生かした販促戦略、店内設計が叶っていない点等、デロンギ社が認識されていない課題も多く見受けられ、総じて改善の余地が大きい、と判断しました。

具体的にワンプルーフによる課題解決アプローチはどういったものでしたか?
野副氏(DLJ):ワンプルーフさんに支援を開始していただいたのが、年末のBigSale直前かつ、メインプロダクトであるヒーターの時季商戦直前という年間を通じて非常に重要なタイミングでした。スケジュールは非常にタイトだったのですが、優先度、重要度を可視化し、売上インパクトの大きな施策からすぐに着手できるようにリードしていただきました。なによりそのスピード感には大変驚きました。
同時に、速やかに製品理解、ブランド理解もしっかりと深めていただき、課題の1つとしてご提案いただいていた「セール会場のリニューアル」を含め、Big Saleで売上を上げる為の販促施策もしっかりと実施することができ、各チャネルの年末Big Saleでは目標売上を大きくクリアすることができました。営業フェーズでご提案いただいたことをすぐに形にしてくれたことで安心感もありました。
猪股氏(DLJ):第一手でやり切る姿勢を感じました。また、数字を見る中でお客様の反応が数字に反映されたのが見えましたし、私たちの考えに加え、ワンプルーフさんの想いも載せて店舗作りと成果を残してくれました。私たちが今、「何ができていて、何ができていないか」を可視化してくれたのが、ありがたかったです。


山本(OP):初手として、まずは課題を洗い出し、工数と売上インパクトの両面から優先順位を設定しました。優先度の高い課題解決施策から着実に実行。10月からの取り組み開始であったため、11月・12月のBig Saleに向けたスケジューリングと優先度設計を初期段階から徹底しました。特に楽天市場においては、年末商戦が最大の勝負所であり、限られた時間の中でも“逆算思考”でスケジュールを組み、クオリティを担保しながらもスピード重視で推進しました。
結果として年末セールで大きな売上を創出し、年始の1月セールにおいてもKPIを達成。ECでは一度のチャンスを逃すとその後の売りへの影響も大きく、初動の意思決定と実行力が、その後の成果に直結することを実感した取り組みであったと思います。


ワンプルーフよる支援後の成果はどうでしたか?
野副氏(DLJ):先程も触れましたが、「各チャネルの年末Big Saleで目標売上を大きくクリアすることができた」というのが1番の成果です。加えて、年明け以降も全チャネルで業績は好調で、支援開始後半年程度で、Yahoo!店では月商ギネスを更新することもできました。
限られた時間の中で成果を出すための最短のアプローチをしていただいたと思っており、同時に私たちがすべきこともきちんと優先度を含めて提案していただき、しっかりプロジェクトをマネジメントしていただいています。
中島(OP):私は主にYahoo!店を担当させていただいているのですが、ご支援開始後3ヶ月程度という短いスパンでアクセス数と転換率は共にYoY150%以上と大きく伸長しました。同時に売上も最大YoY160%まで成長することができました。期中予算が決まっていた中で、広告を一切使用できないという期間ではあったのですが、その中であってもブランドの強みを最大限生かす施策を繰り返すことでしっかり成果を出すことができたと思っています。一般的に売上インパクトが大きいといわれる広告改善には触れられない中、クリエイティブや導線設計の改善等を中心とした施策で売上拡大に繋げることができた点は非常に大きかったと思います。
高田(OP):Amazon店では、売上の土台でもある「商品ページの最適化」に注力しました。「ユーザー目線」と「SEO対策を意識したキーワードの選定」を徹底。商品名・説明文・画像の見直しを実施した結果、検索結果画面での露出が拡大し、CVR(コンバージョン率)の向上にも繋げることができました。ABテストの結果から、概算で年間600〜700万円相当の改善効果を得ることができた点も大きな成果の1つだったと思います。

成果を上げられた要因は何だと思いますか?
野副氏(DLJ):感情的な部分からになりますが、ワンプルーフさんが隣に居てくれる、並走してくれる感覚が強く、常にOne Team、二人三脚、といったような感覚で、取り組めていることが大きいと思っています。オンラインでも常に目の前にいるような感覚です。勿論、高い分析力、鋭い洞察力、施策アイデア等、優秀なコンサル会社さんが持っているものは全て持ち合わせていると思いますが、デロンギブランドを理解しようとし、「もっと多くの消費者にデロンギを知ってほしい」と心から思ってくれていると感じます。
こういったサポートをしていただける支援会社さんは多くはないのではないでしょうか。

山本(OP):私が考える要因は2点あります。
1点目は、優先順位設計とスピード感の徹底。施策の優先順位を明確にし、実行までのスピード感を重視した点です。スピードは単に作業の早さではなく、ブランド理解やレギュレーション把握、提案から実施までのリードタイム、そしてルーチンタスクの効率運用など、あらゆる視点を踏まえた“実行力”として意識。無駄を極力排除し、施策に集中できる体制を整えました。
2点目は、広告・販促と連動した店舗設計をご提案できた点。
10月の取り組み開始時点で、デロンギ社側の広告出稿計画や販促スケジュールはおおよそ確定していたため、それらと弊社から提案させていただいたファンダメンタル施策を組み合わせ、相乗効果を生む提案を意識しました。既存施策に“乗る”のではなく、相互に補完し合う形での実行により、露出と販促の最大化を狙ったということです。
これらのポイントを踏まえた上で施策を検討。Big Saleが控えていたタイミングでもあったため、セール会場をハブとして活用することをメイン施策としました。具体的には、店舗内の回遊性を高める設計とし、セール会場内にはお得な情報を集約。さらに製品の特長を可視化することで、CVRの向上を図りました。
また、広告出稿計画の大枠は事前に固まっていたものの、遷移先ページの入稿にはまだ改善の余地があったため、セール会場を広告流入先としても機能する構成に変更。
その結果、年末商戦ではYOY124%を達成、広告費用対効果を2倍強まで引き上げることができました。
中島(OP):私の考える成果に繋がった要因は、効率的なイベント運用を最優先に考え、工数を抑えつつも、売上へのインパクトが最大化できる方法をデロンギ社と一緒に模索できた点です。際限のないEC運営業務においては生産性という観点も重要なファクターですが、デロンギ社のご協力も大きく、すぐに実行へ移せたスピード感も、大きな成功要因の1つだったと思います。
モールECCとも密に連携をとり、デロンギ社・モールECC・ワンプルーフの三社間でのスムーズな調整と迅速な意思決定が可能になりました。何よりも、弊社を信頼していただき、ご提案にも前向きに意思決定いただけたことで、スピード感のある施策運用が実現しました。
業績以外における定性的側面でワンプルーフへ感じることはありますか?
猪股氏(DLJ):委託業務を「自分ごと」として取り組んでいただけることが本当に素晴らしいと思います。ビジネス成長のためであれば、委託範囲外のことにも着目して、課題解決に向けたディスカッションに応じていただくこともありますし、加えてご提案までいただくこともあり、本当に助かっています。


デロンギ社にとって、ワンプルーフはどのような存在か?
猪股氏(DLJ):私たちECチームメンバーであり、かけがえのない存在です。どんなブランドであっても相手に合わせて対応、フィットしてくれるECのプロフェッショナルです。
ワンプルーフはどのような企業にお勧めだと思いますか?
猪股氏(DLJ):EC運営に課題を感じている全ての企業におすすめしたい。その中でも消費者やブランドファンに対する明確な思いや熱意を持っている企業であれば、ワンプルーフさんは必ず汲み取って形にしてくれる。任せっきりではなく、ビジネスパートナーとして伴走支援を希望する企業ならワンプルーフさんはきっとベストパートナーになってくれると思います。

最後に今後の展望をお聞かせください。
北川氏(DLJ):具体的な数字に関する話はここでは割愛しますが、EC家電業界のベストプラクティスを作り続け、ECビジネスをリードする存在にしていきたいと思います。そのうえでワンプルーフさんの持つ知見やノウハウ・情報収集力を駆使して最新のEC顧客動向を把握し、各カテゴリニーズを織り込みながら、消費者・デロンギファンの皆様の期待にお応えし続けられる会社にしていきたいです。


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※本記事は2025年4月時点の取材内容に基づいて作成しています。